【Win】終末によせて【とおくできこえる デンシオン】

終末によせて【終末によせて】

とおくできこえるデンシオン」のまつ◆7JCTHumZLYさんによるサウンドノベル。
分岐などはなく一本道。
タイトル通り、世界の終わりのお話です。
プレイ時間は1時間程度。

発表年月が不明なんですが、私が以前プレイしたときのセーブデータが2009年かつ、レビューブログの記事もやはり同年だったので、それくらいの時期の発表だったんじゃないかなと思います。


終末によせて

2か月と少し前、世界が終わることが宣告された。
故郷に帰る者、住み慣れた場所で過ごす者、みな様々だった。
当然自暴自棄になった人たちによる暴動も起きたが、そのうち静かになった。
…そして、終末まであと7日…


設定だけ見ると「終末の過ごし方」と似たような雰囲気かなと思いますが、形だけでも普通の生活を送っていた「過ごし方」の方とはまた一方違う終末になっています。
もはや諦めた人間も多く、みな好きなように過ごしている。
ちなみにこの作品の発表時期は、終末の過ごし方より前ですし、終末の過ごし方の方もこの作品から間を空けずに発売しているので、ネタかぶりは偶然の筈です。

メインキャラは4人と、たまにはさまる2人の子供。
とある理由で一緒に住むことになった大学生の青年と高校生の少女。
放浪兄貴と、ひとりでピアノを弾く少女。
まだ幼い少年と、その友人の少女。
みな、精一杯、だけど静かに、最後の時を待っていました。

終末によせて話は実に淡々としています。
静かに終末はやってきます。
ただこの終末の7日間の間に出会った者たちは、共に終わりを迎えることに決めた者たちもいたりして。

終末によせて終わるなんて嫌だ、せっかく出会えたのに、と少しだけ泣いたりもする。
彼女、彼が惹かれ合い、そして訪れることが決まっている終末に対する心理描写が実に見事に描かれていて、とても丁寧に作られたゲームだと感じました。

終末によせてギターとピアノの競演。
少しずつ、硬くなった心がほぐれていく描写も美しいです。
本当に終わってしまうのか、と、このゲームに引き込まれて、その儚さにこちらまで苦しみを抱きました。

終末によせてそして静かなプラットホームで、まるで自分たちをまるで孫のような目でみる老駅員と会話したり。
まだかろうじて動いていた電車で、そっと出かけて…
…世界が終わったらすべて消えてしまうのに、まるで思い出作りをするかのようで…

終末によせてこんなふうに面白いやり取りもあって、本当にテキストが上手いと感じました。
ぐいぐい引き込んでいくのに、終末は確実に、あっけなくやってきて、そして物語は静かに閉じる。
おすすめの作品でした。

こちらで現在も無料頒布中です。

*画像はすべてとおくできこえるデンシオン「終末によせて」より

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