【Win】SWAN SONG【Le.Chocolat】*R18

12月24日、クリスマスイブ。
街は突然の大地震に見舞われた。

地震で水没した街はもはや死に絶え、生き残ったのは、自閉症スペクトラム障害を持つ少女あろえと、死んだあろえの姉にあろえのことを任された尼子司を筆頭とした、6人の男女。
朽ちた教会で身を寄せ合う6人は、しかし生きることを諦めず、筏を作って他の生き残りを探しに行き、そして病院を拠点とした集落にたどり着くが…

避難生活に疲弊する中、他の集落との軋轢も生まれ、彼らの関係は歯車が嚙み合わなくなるかのように徐々に狂っていく…。


とにかく文章が秀逸。
この手のゲームでは、文章が綺麗=えっちシーンでヌけるテキストになっていない、という場合もあるのですが、このゲームでは、性的な描写も的確に描いているので、結構えっちに感じました。
ただシチュエーション的に絶望的なシーンも多いため、実際のところはヌけるかどうかはわかりませんが…
しかしこの文章力で殴りつけてくる感じはたまりませんね。
一部、ちょっと誌的に感じて不自然に思うシーンがないわけではなかったですが、おおむね高品質のテキストを摂取できるゲームです。

ここのところゲームが出来なくてあうあうしていたのですが、これは小説を読んでいるみたいで、なんというか、ゲーム復帰のいいきっかけになってくれました。

人は容赦なく死にます。
これでもかというくらい死にます。
災害以外でも虐殺されます。
グロテスクな描写には本当に注意してプレイしてほしい。
上手くぼかされた描写もありますが、なにせ文章力がケタ違いなため、かなり刺さる描写になっているのは間違いない。
苦手な方には、本当に吐き気を覚えるほどのものかもしれません。

あろえの姉が失血死したのも見た。
目の前で少女が潰されて死ぬのを見た。
状況に耐えきれなくなって自殺する女性もいた。

そんな中で、彼らは必死に生き抜こうとする。
そして性的に接触もしては、キャラクター同士が結びつきを強めたりする。
そんなものはこの災害の中において、傷を舐めあうだけの好意であったかもしれないけれど、それでも男と女は交わる。
…しかし全然予想外のキャラ同士でくっついたりしてたので結構びっくりした。
ひばりちゃんのえっちがクッソ可愛くて好き。

閑話休題。
そして虐殺のきっかけを作ったのは、メイン6人のうちの一人の暴走でした。
彼の暴走は止まることも知らず、仲間を殺してでも、彼は別の集落の人間を虐殺するルートを選んでしまう。
そしてそれは絶対的な決裂も生んでしまった。
集落にたどり着く前に目撃してしまった、死んだ少女の理不尽な死に憤っていた彼はもうおらず、ここにいるのは殺戮を好む悪鬼と化していました。

この作品はいわゆる群像劇と呼ばれるもので、様々な視点からお話が語られます。
つまり殺戮者と化した彼の心の内も語られるのです。
彼の視点はもう腐り果てた人間のそれでしたが、だけど彼も信念を持ち、反面、殺戮を楽しんでいる胸の内は、見るに堪えない物です。ところがこの文章力で綴られるそれは、、彼を理解させたいという感情があることを感じ取りました。
結局のところは、皆が生き残るために、嫌われ役を買って出て、その結果おかしくなってしまったということですね。

選択肢を間違えるとだいたいバッドエンド直行になるので、ある意味コンプリートはしやすいです(前回と別の選択肢を選べば正解ってことだからね(*一部例外あり
そんな感じで、シナリオを選択肢にゆだねるような部分は少なく、テキストに集中できる作品に仕上がっていました。
もっとも、後半の一部の選択肢は、正解するとピンポン音が鳴り、間違えるとブブー音が鳴る仕様は何だったんだろう…、緊迫したシーンに現れたものなので、なんだか不快でした。
シリアスになり過ぎないような工夫? そんなんせんでええわ。

基本的には環境音と効果音がメインの演出になっているのですが、一部シーンでは曲が流れます。
ただ、これがいまいちミスマッチな曲が選ばれているようで、違和感がありました。
それと、ループを前提にしていない作りの曲なのか、曲が終わる→最初から再生される、の過程に無音が若干混じるのも気になります。同人ゲームじゃないんだから…
ピアノがこのゲームの大きな小道具の一つなのだから、音楽にはもうちょっとこだわって欲しかったなあ。

あ、ちなみに学校には温泉があり、入浴シーンがあるのですが… …男側はCGあるのに女側のCGはなしかーい!!!w
でも友情を象徴する一枚でとてもよかった。
その友情にも罅が入ってしまうのですが。

彼らを待ち受ける運命は、ゆるゆるとした破滅なのでしょうか?
それとも、明るい未来が開けることを信じてもいいのでしょうか?
それはプレイして確かめてほしいです。

◆以下キャラ紹介
八坂 あろえ
教会に身を寄せたメンバーの一人。
自閉症スペクトラム障害の少女で、胸から手帳を下げており、手帳に書かれた写真や絵を指し示し、他社とコミュニケーションを取るが、知能はそこまで高くないようで、たいていの場合は相手のセリフを鸚鵡返しにすることが多い。
雲雀に懐いており、雲雀と子供たちと一緒に遊んでいるシーンが何度か描かれる。
ちなみにパッケージに惚れ込んで購入した人には残酷な事実ではありますが、この子をメインにしたちゃんとしたえっちシーンなどはないです(一部フェチ向けの裸のシーンなどはあるのですが)

シナリオ的には、トリッキーに動き、事態を悪化させる役割となっているので、彼女が彼女としてちゃんと報われるような話になって欲しかったなと思いました。
正直彼女はメインシナリオにおいて、あまりにもよくない感じが過ぎた…。

尼子 司
教会に身を寄せたメンバーの一人。主人公格で、彼の視点から物語が始まります。
有名な指揮者の息子。元は天才少年ピアニストとして名を馳せていたのだけれど、事故に遭って右手の握力をほぼ失い、まともな演奏が出来なくなっています。
そのせいで、学校内の自警団にも入れず、食料調達などの仕事などを主にしていたけれど、逃げ出してしまったあろえを追いかけて遭難してしまい…?
身を寄せた病院の院長に「さぼってしまってピアニストになれなかった」と誤解されるのだけど、その誤解を解くタイミングは訪れませんでした。っていうか院長思い込みが強すぎない? いい年こいて思い込みで年下の青年に失望するとかちょっと勝手が過ぎる。

佐々木 柚香
教会に身を寄せたメンバーの一人。
よく気の付く女性で、限られた食材で料理を作っては周囲を喜ばたりもしています。
もとはピアノを習っていたものの、病気を理由に引退。
司とは、その習っていたピアノの一件で、幼いころに出会ったことがあったということで、司に心を開きます。
普段は病気のことは隠しており、また病気がばれた相手にも、ただの喘息だと言い張っています。また、病気のせいですこし捨て鉢になっている様子も描かれます。

田能村 慎
教会に身を寄せたメンバーの一人で、リーダー格。
お調子者で、場の雰囲気を明るくするムードメーカー。タノさん、などと呼ばれることが多い。
剣道の道場の息子ですが、髪も染めており放蕩息子というイメージ。
ただし叩きこまれた剣術によって、いざ戦いになるとかなり強いものの、本来は争いごとは好まない。
何事も穏便に済ませようとするその性格のため、過激に動こうとする拓馬との関係は、かなり悪くなってしまう。

川瀬 雲雀(ひばり)
教会に身を寄せたメンバーの一人。
拓馬や柚香と同じ大学に通いっており、避難途中に拓馬と遭遇、3人で同時に教会へと避難してきた。
気の弱くおどおどしている拓馬とは折が合わないが、拓馬に恋愛アドバイスをしているあたりから、完全に嫌っているようではない様子。
処女だったが、一度好きな相手とセックスをした後は、相手に「覚えたばかりはこれだから」と呆れられるほどにグイグイと攻めていく、意外に大胆な一面も持つ(残念ながら破瓜シーンは描かれません
常に明るく振舞いつつも、他人はわりとどうでもいいというようなスタンスでいるが、実は周囲に気を配れる子であり、あろえのことをいつも心配している。

鍬形 拓馬
教会に身を寄せたメンバーの一人。
この作品中で一番変化が大きかったキャラクターとなります。
柚香のことを慕っていたが、雲雀の後押しがあっても、上手く行動に移すことは出来なかった。
最初はおどおどしていたものの、学校で自分が認められ、地位が上がるにつれ、徐々に好戦的になっていき、内面的にも外見的にも、大きく変わってしまうことになる。

小池 希美
母親が宗教団体にはまっていることをよく思わず、寺から脱走したところにならずものたちに捕まってしまい、襲われているところを、拓馬(とタノさん)に助けられた少女。
自分のことを汚れていると思っていることもあり、長いこと拓馬にしか心を開かなかった。
彼女の母親が「娘を返せ」と学校に押しかけて来たことで、学校と宗教団体への間に、大きな亀裂が走ってしまう。

竜華樹(乃木 妙子)
新興宗教のトップとなる少女。
預言の能力を持っていて、自信を予言して信者を寺へと集めたことで、大きな被災からは免れた。…という経緯もあり、信者からはかなり慕われています。
だけどもその実態は…?
そして、トゥルーエンドルートで明かされる、彼女の正体とは…?

念のために言っておきますが、このゲームには超能力やファンタジーなどは描かれませんので、えっ?ってなった方でも安心です。


基本的にこのゲームには立ち絵がなく、カットインのようにキャラクターの表情が画面に表示されます。
イベントシーンも全画面のもの以外にも、カットインでやり取りが描かれることも多かったですね。
なので、ちょっとイベントCGが少なめに感じるような気もしますが、実際はそんなに少ないわけでもなかったわね。
ただちょっと絵に癖はあるので、合う/合わない、は顕著かもしれない。
美麗なテキストも、人によっては冗長に感じるかもしれないしね。
興味を持ったなら是非遊んで欲しい一本ですが、ぶっちゃけ鬱ゲーなので気軽に勧められない!!

一時期は価格が高騰していたらしいのですが、廉価版の発売に伴い、現在では価格は落ち着いています。

DLsite

駿河屋

*画像はすべてLe.Chocolat「SWAN SONG」より

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