【Win】蒼海に堕ちて…【アリスソフト】*R18

大学卒業を目前に迎えた楠征司は、進学や就職に流されるままのような周囲の雰囲気を受け入れられず、逃げるようにヨットで海を横断する旅に出る。
その征司のヨットの浮かぶ、太平海の真ん中に堕ちた、個人用のセスナ。
セスナの唯一の生き残りの少女・夏奈美を救い出した征司。

夏奈美は、自分の命の恩人として、当然のように征司を慕う。
一方で、ヨットの故障や凪により、じわりじわりと、二人に死の影も近づいて来ていた。

征司は、逃げ出すことのできない海の真ん中で、「女」と二人きりの生活を送らねばならないことに、「男」として苦悩する…
だが夏奈美は、実は快楽に爛れた過去を持っていて…。


誠実な征司と、それに惹かれていく夏奈美。
狭いヨットの中では、否応なしに肌が触れ合ってしまう。
だけど夏奈美の心を裏切れない、と思いつつも、生きている以上逃れられない、性的な欲求が、自分にもあることを嫌悪する征司。

一方で、夏奈美が養父から受けていた性暴力と、それを受け入れる感情、相反する「性」を嫌悪する感情、そういうものがとても丁寧に書かれた作品でした。

蒼海に堕ちて…夏奈美は15歳の誕生日に、父親に犯され、そこから毎晩のように抱かれ続けます。
父親を愛しているのに嫌っている、そんな感情がとにかくリアルでした。

読み進めて1時間半程度で終わる作品で、長い作品ではありませんが、サクッと読めるのにお話は重い感じはいいですね。
暗い過去を隠すように微笑む夏奈美が健気でかわいいんですよ。

蒼海に堕ちて…ちょっとこのゲームをやっていて面白いと思ったのがこちら。
ピルに対する認知が今と違う点です。
日本で避妊用として低用量ピルが認可されたのが1999年、月経困難症に対する治療薬としての認可を受けたのが2008年、と、割と日本ではピルに関しての認可が遅れていたのですよね。
そしてこのゲームの発売時期は、1998年。確かに日本では入手困難だったはずです。そして日本では使われていない薬だったということは、ピルに対する正しい知識を日本人が持たないのも当然で、月経困難症に使われるという認識がなく、避妊の薬である、という認知のされ方をしていてもおかしくなかったでしょうね。

あ、もちろん、このゲームを批判する意図はないですよ。ただ、時代を反映しているんだなあというのがちょっと面白かったので取り上げただけで。

蒼海に堕ちて…スタッフロールのないゲームなので、詳細は分かりませんが、シナリオは上田庄吾氏、CG原画はえびちり氏が手掛けているのは確かです(前述のとおり、上田さんは名前を伏せているようですが)

ちょっと夏奈美ちゃんの髪の描き方に時代を感じますが、CGはきれいだと感じました。だぼだぼTシャツかわいいよ。
あと毎回絶賛しているのですが、上田庄吾氏のシナリオはやはりいい!
父親の死を知らされた時の夏奈美の淡々とした感じや、征司に凌辱されながらも、この人は今までの人とは違うのだというのを感じ取る心理描写は、ほんとうに細やかでしたね…。
本当に繊細なテキストであることだなあ。

*画像はすべてアリスソフト「蒼海に堕ちて…」より

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