【その他】チコの日記 もうひとつのぷよぷよ~ん(後編)【コンパイル】

【 チコの日記 もうひとつのぷよぷよ~ん 】

元はドリームキャストマガジンに掲載された短編小説ですが、ここで紹介するのは、一週遅れでサイトに掲載されたものです。
1~2分で読み終わる程度の、ほんの短編ですが、豪華なことに、毎回書下ろしの挿絵がついていました。
全12話で、基本的には読みきりです。
一話一話は短いものですが、すべて紹介しようとするとある程度長くなるため、二回に分けて紹介します。

チコは完全に新入りのキャラクターで、これまでの「モンスターとして魔導物語に登場したキャラクター」とも全く違うバックグラウンドを持つキャラクターだったため、こうしてキャラクターを掘り下げる小説で、新入りキャラクターを理解してもらおうという試みだったんじゃないかな、と思います。
…あとは…スタッフの愛かな?w


全文掲載すると引用の域を超えてしまうため、あらすじのみ紹介したいと思います。
作者はかむきひ氏、挿絵は戸部淑氏です。

◆いつも一緒

ドラゴンさんとお友達になって、今までよりもたくさん遊びに出かけるようになった。
ドラゴンさっはまだ翼も小さいから、飛ぼうとしても「飛んでいる」というよりも「浮いている」という感じなんだけど…、いざ走るとなると、これが見かけによらず結構早い。
今までは、おばあさまとの勉強が終わると日が傾き始めてたから、遊びに行くのは諦めていたけれど、ドラゴンさんとは、天気のいい日には毎日いっしょにおでかけするようになった。
ドラゴンさんの背中に乗せてもらうと、いつもより高い視界にちょっと新鮮な感じがする。ドラゴンさんが走り出すと周りの景色がびゅんびゅん飛んでとても気持ちがいい。
私を乗せてもこんなに走れるなんて、ドラゴンさんって力持ちなのね。あ、断っておくけど、私はそんなに重たくないからね!
私を乗せている時のドラゴンさんは楽しそうで私も嬉しい。これが親友ってものなのかしら、って思って、ギュってだきついたら、ドラゴンさんは私を振り返ってほっぺたを舐めてきた。
以前は一日がかりで薬草を採りに来た山のふもとにも、あっという間についた。これから薬草を採りに来るときは、ドラゴンさんと一緒に来よう。
…ううん、薬草取りだけじゃなくて、出来るだけいっぱい一緒に居よう。

◆また新しい家族?

ここ何日か暖かい日が続いたと思ったらまた冬に逆戻り。でもこうやって春になっていくものらしい。
今日は、ドラゴンさんは、森の向こうのおばさんの家に行くおばあさまのお供。さいきんめっきり足腰の弱くなったおばあさまを、ドラゴンさんが乗せていったの。おばあさまにも気にられたドラゴンさんは、すっかり家族の一員。
だから今日は一人で遊びに出かけた。日当たりのいい原っぱで、まだ冷たい地面に腰を下ろして伸びをする。…と、地面に座っている足の上に何かがぴょんと飛び乗った。
私の膝の上の生き物は、あまりにもまんまるすぎて、小さな羽根とくちばしを見つけなかったら、鳥だってわからなかったと思うわ。
まだ小鳥みたいだし、一匹でいるのは変、ドラゴンさんみたいにはぐれちゃったのかなっておもったら、次の瞬間、小さな羽根を羽ばたかせて飛んでいった。
少し残念に思う自分に気が付いて、自分は鳥さんやドラゴンさんの立場で考えてなかったことに気付いた。ドラゴンさんが帰ってきたら謝ろうと思う。

◆お掃除の敵

お勉強の時間が終わって遊びに行こうとしたら、おばあさまに呼び止められた。いつも使ってる部屋なんだからたまには自分で掃除しなさい、だって。
確かにちょっと埃っぽい。私は早く遊びに行きたかったんだけど、おばあさまの言うことはもっともだし、掃除をしてからドラゴンさんのところに行くことにした。…おばあさまを怒らせるとあとがコワいしね。
お掃除は高い所から。まずは本棚。
本棚には勉強に使っている本、どこの言葉かわからない言葉で書かれた本、いろいろな本が並んでいる。
私は、背表紙に何も書かれていない本を見つけて、ふと気になってそれを手に取ってみた。…どこかの物語らしい。
つい読みふけってしまい、お掃除するのをすっかり忘れていたことに気が付いた。大慌てでお掃除を終わらせて、ドラゴンさんのところに行くと、ドラゴンさんは待ちくたびれてすっかり眠ってしまっていた。
明日はドラゴンさんと一緒にこの本を読もう、と思いながら、私はドラゴンさんの隣で一休みをした。

◆水遊び

だいぶ暖かくなってきたので、今日はドラゴンさんと湖まで出かけた。
今の季節は水が少ないけれど、季節が夏になるころには、今立っている場所が水の中になってしまうほどに水が増える。
おばあさまの話によれば、ずっと遠くの山の雪が溶けて流れ込んでくるかららしいけれど、私はまだ本物の雪をちゃんと見たことがない。うんと寒い冬の日に、山のてっぺんが白くなっているのは見たことはあるけれど。
おばあさまの言う「一面の銀世界」と言うものを見てみたい。
湖に着くと、さっそく靴を脱いで浅瀬に足を入れてみた。水はまだ冷たくてとても泳げないけれど、頭のてっぺんまですっきりしてきもちいい。
ドラゴンさんは水が嫌いなのか、全然湖に入ろうとしない。
私がしつこく誘うと、おそるおそるしっぽを水につけようとするけど、水面をぴちゃぴちゃさせるだけ。その様子がおかしくて見ていると、急にビクっとして逃げて行った。
何だろうと思ったら、小さなお魚さんたちがたくさん泳いでいる。ドラゴンさんのしっぽを、エサと勘違いして集まってきたみたい。
凄く困った顔をしているドラゴンさんの顔がおかしくて、失礼だと思いつつ笑ってしまった。

◆訓練

おばあさまとのお勉強の時間が終わったら、ドラゴンさんの訓練に付き合うのが最近の日課。
何の訓練かって、もちろん空を飛ぶための訓練。
高い空の上にあるドラゴンさんのおウチに帰るためには、そこまで飛んでいかなければならない。だけどドラゴンさんは翼をばたばたさせてもほんの少し浮き上がれるだけ。だから私、ドラゴンさんがおウチに帰れるように、飛べるようになるまで一緒に訓練しようと思ったの。
昨日までは失敗続き。私の腰の高さまでしか浮き上がれなかったの。でも、今日はちょっとした秘策がある。それは坂道を利用して思いっきり助走をつけること。これならドラゴンさんも飛べるようになるかもしれない。
私とドラゴンさんは丘に登り、呼吸を整えると、今登ってきた斜面を一気に駆け下りた。思った通りスピードがグングンでて、これならイケる!って思って振り返ると、ドラゴンさんがいない。
だけど、地面に影が映っている。やった!と思って見上げると、ドラゴンさんは見事空を飛んで… …次の瞬間まっすぐ落っこちてきた。危うく下敷きになるところだったわ。
まだまだ先は長そうね、ゆっくりやりましょう。

◆巫女の初仕事

私たち巫女の仕事として、言うまでもなく「神殿を守る」というものがある。
神殿に納められた様々な宝物。特に神殿の一番奥の宝玉には、望むものをなんでも与えてくれるって言う伝説があって、これを狙う盗賊も昔はいたらしい。
そこで代々の巫女は神殿に結界を張り、盗賊が入れないようにした。だけど、太陽が欠ける日食の日は、巫女がいないと結界が消えてしまうという欠点があるの。
そして、今日の日食は、私がはじめてその役目をやらせてもらうことになった。いままではおばあさまの役目だったんだけど、もう盗賊はめったに出ないし、いるだけでいい。私は喜んでお役目を引き受けた。
ドラゴンさんが一緒にいると結界が弱くなる、と、一緒にいられないのは残念だったけど、私にも「巫女」らしい仕事が出来るのはうれしかった。
本当に何事もなく時間が過ぎていくなか、何か起こらないかな、なんて退屈から考えたのがいけなかったのかしら。入り口から、複数の女の子の声がしてくる。
どうしよう!! って思ったけど、私も一応「巫女」だし、神殿を守らなくちゃ!

…この後のお話は、皆ご存知の通り。
勝手に神殿を離れておばあさまには怒られちゃったけど、私の「巫女」としての初仕事は、とっても素敵な一日になった。


というわけでぷよぷよ~ん本編に続くところで物語は終わり。
ぷよぷよ~んプレストーリーといった感じの物語でした。

印刷があまりきれいではなかったため、掲載したイラストの画質が悪くて申し訳ないです。

あのあと、ドラゴンさんは空に帰れたのかな、きっと帰れたよね。

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*画像はすべてコンパイル「チコの日記 もうひとつのぷよぷよ~ん」より

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